関西あれこれ

【社長インタビュー】高級ホテルの快適さとアウトドアの開放感!大人気のグランピング施設『GLAMP ELEMENT(グランエレメント)』(滋賀県米原市)

2024.09.26最終更新

元ゴルフ場という立地を生かした『GLAMP ELEMENT(グランエレメント)』(滋賀県米原市)は、予約の取れないグランピングとして大人気の施設。ホテルの快適さを兼ね備えたぜいたくなアウトドア体験、オールインクルーシブで心ゆくまで食事やお酒、カヌー遊びなどが楽しめるのが魅力です。

本記事では、グランエレメントを運営する奥伊吹観光株式会社の代表取締役社長・草野丈太さんにインタビュー。施設の魅力やこだわりのポイント、地域貢献への思い、今後のビジョンなどについてお話を伺いました。

芝生、池、起伏のある土地……
元ゴルフ場の立地を生かして
グランピング施設をオープン

滋賀県米原市にある、アウトドアレジャーとスポーツの複合公園『グリーンパーク山東』の一角に、グランピング施設『GLAMP ELEMENT(グランエレメント)』がオープンしたのは2017年。まだ、国内にグランピング施設が10カ所程度しかなかった頃です。

「当社は2006年から米原市の指定管理者として『グリーンパーク山東』を運営していますが、パーク内のミニゴルフ場の収益が芳しくなく、何か別の利用方法はないものか?と悩んでいました。実は、運営会社として年に数回主催するゴルフ大会が、業務の負担になっていたという事情もありまして(苦笑)」(草野社長・以下同)

最初に思い付いたのは、ゴルフ場にある池を利用したカヌー体験だったそうです。「芝生に囲まれた広い池でのカヌー遊びはどうだろうと考え、さっそくカヌーを借りて池で漕いでみました。確かに楽しいけれどカヌーだけでは採算が取れない、ならばBBQやテントでの宿泊も一緒に……とアイデアを膨らませる中で、グランピングだ!と閃きました」。

行動派の草野社長は早速、事業計画に着手。なんと、閃きから1年もたたない間にグランエレメントがオープンしました。ミニゴルフ場の時と比べて、今や売上30倍超の事業に育ったそうです。

元ゴルフ場ならではの起伏のある立地は変化に富み、散策するだけでも楽しい気分に。整備された芝生や年月をかけて育った樹木は、美しい緑を見せてくれます。カヌーが浮かぶ広い池は、アウトドア気分を一層盛り上げる立役者。バンカーをお子さま向けの砂場遊びに転用するアイデアも秀逸です。敷地内からは滋賀県最高峰の伊吹山が望める、最高の立地となっています。

客室棟は7タイプ全18棟。テントやドーム、キャビンなどのバリエーションがあり、インテリアなどのコンセプトも棟によって異なります。ワンちゃんと一緒に泊まれるドッグキャビン(ドッグラン併設)もあり、愛犬家には嬉しいところ。全棟が池に面し、専用のカナディアンカヌーと船着場があります。各棟は十分な間隔で配されていて、ゆったりとした滞在を楽しめます。

フロントやカフェ、ラウンジ、ライブラリーのあるメイン棟には広いウッドデッキがあり、夜はファイヤーピットやライトアップされた池を眺めながらリゾート気分を満喫できます。

「アウトドアでホテル並みの
クオリティ」を提供し、
宿泊者の満足度をアップ

アウトドアでありながら、高級ホテル並みのクオリティを堪能できるのもグランエレメントの魅力です。夕食・朝食・バー・カフェなどの食事、カヌーやパターゴルフなどのアクティビティ、コンシェルジュサービスなど、宿泊料金のみで施設内のさまざまなサービスを楽しめる、オールインクルーシブの料金形態が好評とのことです。

さて、通常のキャンプやBBQは、準備や後片付けが一苦労です。草野社長自身、大自然の中で仕事をすることが多いため「旅行の時くらいは、快適な部屋でのんびり過ごしたいタイプなんですよ(笑)」。そこで、グランエレメントでの食事は、調理も後片付けもスタッフが行う仕組みになっています。「お客様には、テラスの食卓で出来上がりを楽しみに待っていただきます。ただし、パエリアの鍋の蓋を開くところだけはご自身で行っていただきます。アウトドアのライブ感が感じられて、一番盛り上がる瞬間ですね」。キャンプやBBQのような楽しさをホテル並みのサービスで味わえる、“いいとこ取り”のアウトドア体験ができるというわけです!

グランピング気分を盛り上げる夕食は、目に楽しく食べておいしいメニューを心がけたとのこと。「海の幸が採れない滋賀で、地元産にこだわるのはハードルが高くて……パエリアにはムール貝がマストですから(笑)」。一方、朝食(和食)は地元の食材を8割使用したメニューに。夕朝食で提供するお米は、隣接する田んぼで収穫されたものだそうです。

インテリアにこだわった各棟内で、おしゃべりしたりお酒を飲んだりしながら、ゆったりと過ごす時間はまさにリゾート。一方で、グリーンパーク山東内にはアスレチックが楽しめる『フォレストアドベンチャー』や、テニス&フットサルコートなどもあり、身体を思いっきり動かしたい人も満足できます。

同じくパーク内、グランエレメントのエントランスから徒歩1分の場所には、軟水に仕立てたお湯が人気の『美肌の湯』があります。こちらも、以前は研修所だった場所を温浴施設に改修したとのこと。今年(2024年)の夏には、元美術館だった建物の一部に『ビートルランド・米原』をオープン。カブトムシやクワガタと触れ合える施設で、虫好きのお子さまたちに人気だそうです。既存施設を有効活用して積極的に整備を行う草野社長のチャレンジは、まだまだ止まりません。

リゾートの開放感を
演出する、スタッフの
育成にも注力

グランエレメントのスタッフの皆さん

グランエレメントは、スタッフたちの肩の凝らないおもてなしも好評を得ています。チェックイン時はスタッフがお客様と宿泊棟まで一緒に歩きながら、伊吹山の豆知識など観光気分を盛り上げる会話も心がけているそうです。

「観光業として“非日常を提供する”ことをミッションにしていますが、自分たちは非日常を味わっているか?何かに感動できているか?と自らに問い直すことも必要です。お客様に楽しんでいただくためには、楽しむ側のプロにならなくては」。そう考える草野社長は、オリジナルの福利厚生としてテーマパーク利用時の費用が補助される制度を創設。海外への社員旅行も実施しています。「今年は皆でドバイへ行きました。観光先進国で非日常体験をして、日々の仕事に生かそう!という意気込みです」。

グランエレメントは、2021年に第5回旅館甲子園(全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部主催)でグランプリを受賞。従業員たちが自館の魅力や仕事への熱い思いをプレゼンテーションして競う中、約2万施設の頂点に輝きました。「スタッフ全員で作り上げてきたことへの評価をいただきました」。

地域再生への思いを胸に、
持続可能な経営を目指す

スキーリゾート『グランスノー奥伊吹』の写真

奥伊吹観光株式会社は、国内有数のスキーリゾート『グランスノー奥伊吹』も運営しています。「スキー場は冬期のみの稼働になってしまいますが、春から秋まで稼働するグランエレメントの事業を始めたことで、スキー場と合わせて通年雇用で優秀なスタッフを確保できるようになりました」。

米原市に遠方から移住したスタッフには月2万円、隣接市町からの移住は月1万円の家賃補助を行うことで地域雇用を創出し、地域の活性化へつなげています。「私の長男が生まれたとき、地域に子どもは彼ひとりだけでしたが、今や12人に増えています」。草野社長のビジョンはここでも着実に実を結んでいるようです。

また、関西電力グループのKANSOテクノスと合同で『奥伊吹水力発電合同会社』を設立し、水力発電所を新設運営しています。発電に使用する水は、グランスノー奥伊吹内を流れる河川から取水。再生可能エネルギーによる自社グループ内観光事業所の使用電力を、実質自給化しています。これは国内初となる快挙です。

水力発電所の写真

豊富な雪や、雪がもたらす潤沢な水、山や湖などの自然、すでにある地域資源や施設を有効活用した事業を展開する草野社長は、“2070年に地域の子どもたちにスキーができる環境を残すこと”を目標としているそうです。「環境と人に配慮した“無理のない観光”で持続可能な事業を行っていきたいですね」。

グランエレメントへの
アクセス

〒521-0221 滋賀県米原市池下60番地1

  • JR米原駅下車、無料送迎バスで20分
  • JR近江長岡駅下車、無料送迎バスで5分
  • 車の場合は関ヶ原インター、長浜インター、米原インターの各インターから約15分

グランピングを体験したい
なら、グランエレメントへ

草野社長にお会いしたラウンジの大窓から望む景色は、まさに非日常。取材当日は夏休み期間で、ラウンジでは『カロム』(隣の彦根市で受け継がれてきたボードゲーム)で盛り上がる家族連れの姿が見られました。おいしい空気と大自然に囲まれ、リラックスして過ごすお客様が多いのも納得の光景でした。

関西は少し足を延ばすだけで、魅力的なスポットに出会うことができます。これからもお勧めの場所をご紹介していく予定ですので、ご期待ください!

執筆者

川口章子

情報誌の広告ディレクターとして、求人広告や商品広告の制作に従事した後、フリーランスとして独立。住宅、インテリア、マネー、家計、レジャーなど暮らし関連などの幅広い分野で編集、取材、記事制作に携わっている。

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