太陽光発電のメリットは?設置前に知っておきたいポイントまとめ
2025.11.21最終更新

太陽光発電は東京都をはじめとする自治体で設置義務化が始まるなど、注目が年々高まっています。また、近年の電気料金の高騰や、地震・台風といった自然災害による停電への備えとして、太陽光発電の導入を検討中の方もいるのではないでしょうか。
この記事では太陽光発電を家庭に導入するメリットや、導入を検討する際に知っておくべき注意点、賢く導入するためのポイントについて詳しく解説します。
住宅用太陽光発電の
基本を知ろう
まずは、住宅用太陽光発電の基礎知識をおさえておきましょう。
太陽光発電のしくみ

太陽光発電は、シリコン半導体に光が当たると電気が発生する現象を利用して、太陽の光エネルギーを「太陽電池モジュール(太陽光パネル)」で電気に変換するしくみです。
太陽電池モジュールに太陽光が当たると、直流電力(DC)が発電されます。この直流電力は家庭用の電化製品では使えないため、「パワーコンディショナ」という設備を用いて、家庭で使える交流電力(AC)に変換します。
こうしてつくられた交流電力は、分電盤を通して家庭内の冷蔵庫やエアコン、照明といった家電製品に供給され、自家消費されます。日中の消費電力を太陽光発電でまかなうことで、電力会社から電気を買う量を減らせるというわけです。
使いきれずに余った電気は、電力会社へ販売して売電収入を得ることもできます。電力会社に売電した電力、購入した電力は「電力量計」で計測することができ、自家消費や売電状況の詳細を把握することができます。
FIT制度(固定価格買取制度)の概要
太陽光発電の導入を検討する上で、知っておきたいのが「FIT制度(固定価格買取制度)」です。これは、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。FIT制度の費用の一部は、「再エネ賦課金」として国民が負担しています。
10kW未満の住宅用太陽光発電の場合、固定価格の買取期間は10年間と定められており、導入した年の買取価格が期間中ずっと適用されます。買取価格は年々見直されており、徐々に下落傾向にあります。そのため現在は、売電による収益を期待するよりも、自家消費による電気代の削減に注目が集まっています。
FIT制度の適用期間である10年が終了することを「卒FIT」と呼びます。卒FIT後の売電価格は、電力会社やプランによって異なりますが、通常かなり安くなります。そのため、卒FIT後は余剰電力を売電するよりも、蓄電池を導入して夜間に活用する、あるいは電気自動車(EV)に充電するなどして自家消費を増やす方がお得だと言えます。
また、FIT制度を利用しない「非FIT」という選択肢もあります。非FITの場合、売電価格は市場での自由な取引によって決まります。
新制度「初期投資支援スキーム」に注目
太陽光発電の導入にはまとまった初期費用がかかるため、経済的な負担がネックになる方もいるでしょう。そうした課題を解決するため、国は2025年度下期から新制度「初期投資支援スキーム」を導入しました。対象となるのは、屋根設置の太陽光発電全般です。
「初期投資支援スキーム」では、従来は一律だった売電の単価が4年目までは高く、5年目から10年目までは低く設定されます。これにより、投資回収年数の短縮や返済額のうち利息分を抑えられるなどのメリットがあります。
太陽光発電導入で得られる
4つのメリット
次に、マイホームに太陽光発電を導入することで得られるメリットを分かりやすく解説します。
1.電気代を節約できる
太陽光発電の最大のメリットは、日中に発電した電気を自分で使うことで、電力会社から購入する電気の量を減らし、電気代を大幅に節約できる点にあります。特に、昼間に在宅していることが多い家庭や、日中に消費電力の大きい家電製品を使うことが多い家庭では、そのメリットをより実感できるでしょう。
2.売電による副収入を得られる
日中に発電した電気を自家消費しても余った分は、FIT制度を利用して電力会社に買い取ってもらうことができます。手間をかけることなく、安定した副収入を得られるのは、太陽光発電の大きな魅力の一つです。
3.災害時・停電時の安心と備えになる
地震や台風、大雨といった災害で停電が起こった際にも、太陽光発電は大きな安心をもたらします。日中に限られますが、発電した電気を非常用電源として利用できるからです。スマートフォンや携帯電話の充電、照明など必要最低限の電力を確保できるだけでも、非常時の不安は大きく軽減されるでしょう。
さらに、蓄電池を併用すれば発電した電気を貯めておけるようになります。夜間や悪天候時でも電源を確保でき、在宅避難生活に大きな安心をもたらします。
4.地球環境に貢献できる
太陽光発電は、電気をつくる過程でCO2などの温室効果ガスを排出しない、クリーンな再生可能エネルギーです。火力発電のように化石燃料を燃やす必要がないため、地球温暖化対策に大きく貢献できます。
また、家庭で発電・消費することで、エネルギー自給率向上にも貢献できます。太陽光発電を導入することで、節電や省エネへの意識が高まるといった、ライフスタイルの変化も期待できるでしょう。
太陽光発電設置の際に注意すべき4つのポイント
太陽光発電の導入には多くのメリットがある一方で、注意点もいくつかあります。事前にしっかりと確認しておきましょう。
1.初期費用の負担が大きい
太陽光発電システムの導入には、まとまった初期費用が必要です。経済産業省のデータによると、2024年時点での新築住宅における太陽光発電システムの1kW当たりの設置費用平均は、約28.6万円です。
一般的な住宅に設置されるシステムの容量は、3kWから5kW程度が主流です。これを基に計算すると、設置費用の目安は約85.8万円から143万円となります。もちろん、システムの容量やメーカー、屋根の形状、設置工事の内容によって費用は変動しますが、この程度の費用がかかることを想定しておく必要があります。
2.発電量は天候や季節・設置場所に左右される
太陽光発電は、その名のとおり太陽の光を利用するため、発電量は天候や季節によって大きく変動します。晴天の日中に最大の発電量を得られますが、曇りや雨の日には発電量が低下します。冬場は日照時間が短くなるため、夏場に比べて発電量が少なくなる傾向にあります。
また、日当たりが悪い場所や、周囲に高い建物や木があり太陽光パネルに影がかかるような場合は、十分な発電量を得られないことがあります。太陽光パネルの面積や設置の向き(方位)、角度によっても発電量は変わるため、事前に専門業者にシミュレーションしてもらうことが重要です。
3.メンテナンス費用がかかる
太陽光発電は、一度設置したら終わりではありません。長期的に安定した発電量を維持するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。
太陽光発電の保守点検は規模により法律で義務化されており、FIT制度を利用している場合、10kW未満の住宅用でも必ず保守点検を実施することになっています。
一般的に、設置後1年で初期不良の点検を行い、それ以降は4年おきに行います。太陽光パネルやケーブル、架台、パワーコンディショナなどの点検を専門業者に依頼することが推奨されており、その都度、点検費用がかかります。また、落雷や火災による被害や、台風などで太陽光パネルが落下して他者に損害を与えた場合などに備え、火災保険の特約や損害保険への加入も検討するとよいでしょう。
さらに、パワーコンディショナは一般的に10年から15年程度で交換が必要となります。交換費用は機種や工事内容によって異なりますが、1台当たり34.5万円程度というデータがあります(令和6年度以降の調達価格等に関する意見|調達価格等算定委員会)。
4.売電価格が下がっている
前述のとおり電力の買取価格は年々下落しており、2025年上半期の太陽光発電の買取価格(10kW未満)は1kWh当たり15円です。
これに対し、全国家庭電気製品公正取引協議会が目安として定めている電力料金単価は、31円/kWhです。電力料金単価は電力会社や契約プランによって異なりますが、買取価格よりは高価なため、「発電した電気を売る」よりも、「発電した電気を自分で使う」こと、つまり自家消費によって電気代を削減するほうがお得になります。
太陽光発電を賢く導入するためのポイント
太陽光発電を導入する際に、そのメリットを最大限に引き出すためのポイントを解説します。
1.「売電」より「自家消費」でメリットを享受しよう
売電価格が下落している現在は、発電した電気を自宅で使い、電力会社からの購入量を減らすことが大切です。日中の家電利用を増やすなど、ライフスタイルの見直しで自家消費率をアップしましょう。発電量が多い時間帯に、洗濯機や乾燥機、食洗機、IHクッキングヒーターなどの消費電力が大きい家電を積極的に使用すると効果的です。
2.蓄電池の併用でメリットを最大化しよう
太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせて導入すれば、日中に発電して余った電気を貯めておけます。夜間や悪天候時に貯めておいた電気を使うことで、電力会社からの買電量を減らし、自家消費率をより高められます。また、停電が起こった際にも、蓄電池に貯めた電気を非常用電源として使えるため、安心です。容量や設置場所を考慮しながら、わが家に最適な蓄電池を選びましょう。
ただし、蓄電池の設置には初期費用がかかります。ご自身のライフスタイルや予算に合わせて、導入を検討しましょう。
3.信頼できる業者を選ぼう
太陽光発電システムは長い期間使う設備です。複数の業者から見積もりを取り、価格や提案内容、施工実績、保証内容などをじっくり比較検討しましょう。アフターサービスのサポート体制は十分かといった点も要チェックです。
4.最新の補助金・税制優遇情報を常にチェックしよう
太陽光発電や蓄電池の導入費用を抑えるためには、国や地方自治体が提供する補助金制度や税制優遇制度を積極的に活用することが大切です。なお近年、国では太陽光発電単体の設置については補助金支給を行っていません。その代わり、蓄電池と組み合わせたり、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)への補助金を出したりする形へと移行しています。
これらの制度は毎年変わるため、常に最新情報を確認しましょう。以下のようなウェブサイトで情報収集ができます。
- 国の補助金(蓄電池)
子育てグリーン住宅支援事業 - 自治体独自の補助金制度
各地方自治体でも独自の補助金制度を設けている場合があります。お住まいの自治体のウェブサイトを定期的にチェックするか、窓口に問い合わせてみましょう。
これらの補助金制度には、通常、申請受付期間や年間の予算枠が設けられています。特に人気のある制度は、年度の途中で予算がなくなることもあるため、早めの情報収集と行動を心がけましょう。
太陽光発電で家計と暮らしを
豊かに
太陽光発電を導入することで、光熱費の削減や災害時の安心を確保できるだけでなく、地球環境にも貢献できます。まさに「未来への投資」といえるでしょう。この記事で解説したポイントを参考にして、太陽光発電で豊かな暮らしを手に入れてみませんか?
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執筆者
川口章子
情報誌の広告ディレクターとして、求人広告や商品広告の制作に従事した後、フリーランスとして独立。住宅、インテリア、マネー、家計、レジャーなど暮らし関連などの幅広い分野で編集、取材、記事制作に携わっている。
- 関西みらい銀行が監修しています







