やっぱり欲しいマイホーム。みんなはどうして購入を決断できたの?
2026.02.19最終更新

マイホームはとても大きな買い物です。購入に踏み切る瞬間、「この選択は本当に正しい?」と不安がよぎるのも無理はありません。ただ、十分検討を重ねたにもかかわらず、最後の決断をためらって本命の物件を逃しては、それまでの努力が無駄になります。
希望の住まいを実現した方はどのように決断できたのでしょうか。それを探るため、実際に家やマンションを購入した方を取材しました。具体事例とともに、不安ループに陥らない心の持ちようを考えてみたいと思います。
なお、本記事では所有する住宅の意味で「マイホーム」という言葉を使っています。
マイホーム計画の始まり

「賃貸か、購入か」。住まいに関する永遠のテーマともいわれるこの問いに答えを出して、マイホーム計画に着手するきっかけとは何でしょうか。主な動機といえば…
ライフステージの変化に伴って
- 結婚・出産・子育て
- 転勤・転職・独立・定年退職
- 親や子ども世帯との同居
生活環境の質の向上を目指して
- 理想の追求(広さや間取りほか)
- 利便性(職場、学校等への距離ほか)
- 環境(防犯、近隣トラブル回避、移住)
経済的な側面から
- 資産形成
- 住宅ローン金利の変動、優遇制度
- 相続(生前・遺産)
精神的な側面から
- 身近な人が住宅を購入
- 親など周囲からの圧力
- 老後の家賃負担回避(安心感を求めて)
その他
- 火事、地震、豪雨などの災害被害
次に、マイホームを望んでいるにもかかわらず踏み出せない理由を考えてみると…
将来が見通せないから
- 転勤や転職、家族構成の変化
- 社会情勢の不透明さ
経済的な理由から
- 頭金問題
- 収入が不安定
物件に関する理由から
- 希望の物件に巡り合えない
- 家族の要望が一致しない
購入の決断に向けて、社会情勢など自分ではどうにもならないこと以外の不安を一つ一つ解消するよう努力しましょう。特に、経済面の不安は専門家に相談するなどし、資金計画をしっかり立てて解決することが不可欠です。
住宅市場動向

住宅購入者の具体例をみる前に、最近のマイホーム事情を押さえておきます。
国土交通省の「令和6年度 住宅市場動向調査報告書」によると、注文住宅、分譲戸建住宅、分譲集合住宅、既存(中古)戸建住宅を取得した、世帯の世帯主の年齢構成は「30代」が最多。既存(中古)集合住宅は「40代」が30.6%で最も多いものの、「30代」も29.6%と僅差でした。
購入資金額は以下のとおりとなりますが、近年の急激な物価高を考えると、今後はさらに高騰していくことも予想されます。
【住宅別の平均購入資金額と平均世帯年収】
(注文住宅の調査地域は全国、その他住宅は三大都市圏での調査)
| 購入住宅の種類 | 平均購入資金 | 平均世帯年収 |
|---|---|---|
| 注文住宅 | 6,188万円※ | 907万円 |
| 分譲戸建住宅 | 4,591万円 | 851万円 |
| 分譲集合住宅 | 4,679万円 | 891万円 |
| 既存(中古)戸建住宅 | 2,917万円 | 699万円 |
| 既存(中古)集合住宅 | 2,919万円 | 717万円 |
- 土地を購入した新築世帯(土地購入資金も含む)
出典:令和6年住宅市場動向調査 報告書(国土交通省)p. 44とp. 46を加工して作成

出典:令和6年住宅市場動向調査 報告書(国土交通省)p. 47を加工して作成
【住宅選択にあたり妥協したもの(複数回答)】
住宅選択時の妥協内容に関する調査の結果は、すべての住宅で、「価格(予定より高くなった)」が最多回答。また、住宅の種類を問わず回答数が多かったのは、「住宅の広さ」、「間取り、部屋数」、「交通の利便性」、「職場からの距離」。
出典:令和6年住宅市場動向調査 報告書(国土交通省)p. 24を加工して作成
予算オーバーになりがちなマイホーム計画は、理想の追求よりも、こだわりと諦めの最適バランスの追求が大事です。
私はこうしてマイホームを実現しました

取材にご協力をいただいた住宅購入者のみなさんの中から7つのストーリーを紹介します。
CASE1 バブル全盛期、抽選に当たったら迷わず購入(1991年 戸建住宅を建築)
転売も視野にマンションを購入して夫婦で居住。ほどなく独立開業し、長男も誕生してマイホームを考え始めますが、当時はバブル全盛期。不動産物件に購入希望者が集まり、抽選倍率が3桁になることも。「申し込んでは抽選に外れる」を1年以上繰り返し、ようやく当たった土地の購入に迷いはありませんでした。マンションは高値で売れますが土地価格も高騰中で差し引きゼロ。売り地が増えて価格も下がったバブル崩壊後であれば選択の幅は広がったと想像しますが、「欲しい時が買い時」と納得しています。
CASE2 立ち消えた計画を夫が再開させ新居を実現(2002年 戸建住宅を建築)
長男の小学校入学前にマイホームを計画しますが希望物件に巡り合わず立ち消えに。関西出身の妻は、東京で予算に合う家の狭さにがっかりし、家探しの意欲が減退しました。計画が再び動き出したのは次男の小学校入学前。この機を逃すと実現が遠のくと密かに情報収集を進めていた夫が戸建住宅の建築プランを妻にプレゼンテーション。子どもの交友関係を変える必要のない立地、地盤の安定性など「こだわり条件」はおおむねクリアしていたことからプランにゴーサインが出て、マイホームが実現しました。
CASE3 空き巣被害が決定打となり住み替えを決断(2008年 戸建住宅を建築)
結婚に際して中古住宅を購入。希望の広さと予算に合う家は市内中心部で見つからず、郊外にある山のほぼ頂上の立地に。中腹にJR、麓に私鉄の駅があり足の便は問題ないと考えましたが、急勾配の移動は予想以上に大変。子どもたちは補助輪付き自転車に乗るのを断念しました。間取りや狭い駐車場、老朽化など不満を感じながらも10年近く住んだころ、空き巣被害に遭ったことが決定打となり住み替えを決心。平地、防災(地盤、周辺環境)を重視して土地を選び、防犯も考慮して家を建てました。
CASE4 NG物件を見て譲れない条件に気づく(2014年 分譲マンション購入)
子どもが生まれるまでにマイホームを実現したいというのが夫婦の共通認識で、結婚半年後に行動を始めました。希望地域には戸建物件が少なく、マンションに絞ってインターネットで情報収集。最初に見たモデルルームは変形リビングがNG。2軒目は特に引かれるところがなく選外に。3番目に見学したのが現在暮らすマンションです。駅から徒歩7分、学校や妻の実家に近く、オーソドックスな間取り。先にNG物件を見たことで自分たちの好みや希望の住まいが鮮明になっていたため、迷わず決めることができました。
CASE5 住宅ローン控除の関係から購入期限を設定(2023年 建売住宅を購入)
もともと住宅ローンの契約条件が不利にならないよう40歳までに家を買いたいと考えていましたが、住宅ローン控除の利用要件の変更で急きょ、2023年中の購入が絶対目標に。そこで、2022年から交通や生活の利便性を考えて選んだエリアの気になる物件に足を運び、約1年で希望する狭小住宅を中心に20物件ほどを検討。大変でしたが、楽しみながら家探しを続けるうちに相場感も身に付き、気に入った物件に出合った時点で迷いなく決断。無事2023年10月、39歳でマイホームを手にしました。
CASE6 夫婦の将来を相談して決めたマンション購入(2024年 中古マンション購入)
「住み替えしづらいのは嫌」と賃貸派だった妻が購入派になったのは、夫婦で将来を話し合った結果、子どもを持たない人生を選んだから。子育て費用が必要ないのであればと、ペットが飼える賃貸物件への引っ越し計画を変更して中古マンションを購入することに。決断後は即行動。まずは不動産会社に物件探しを依頼しますが、なかなか要望に合う提案が得られません。最終的には友人の情報を参考に希望物件と巡り合うことができ、購入後にリノベーションを施して理想の住まいを実現させました。
CASE7 80物件以上検討も最後は迷わず決断(2025年 中古マンションを購入)
マイホーム計画が現実化したのは妻の妊娠(双子)がきっかけです。手狭になるのは明白で、子どもが1歳を過ぎてから物件巡りを開始。男の子2人のため騒音の観点から新築・中古を問わず戸建住宅を30物件以上見た後、対象をマンションにも広げて4年弱で80物件以上を検討。見過ぎて混乱した時もありますが、物件を見る目が養われ、求める住まいが絞り込めました。希望物件に空きが出たことで手に入った現住まいは防音リフォームも施されています。通学路に歩道があったのも決め手の一つに。
良い決断をするために

紹介した以外の事例も千差万別。妊娠と同時に希望の学区内でマイホームを画策し5年後にかなえた戦略的な妻もいれば、住宅情報誌の広告から建設地とモデルルームを見学、他物件を見ずに購入した即断即決のご夫妻も。ネット社会以前の事例には、折込みチラシで気になった物件が出てくると検討するスタイルで2年かけて購入を決めたケースもありました。
ひとり親家庭が部屋を借りづらい現実に遭遇し、「安住の地を確保したい」と家を建てた女性は決断できない状況を「迷うのはマイホームへのモチベーションが低いから。確固たる理由があれば前に進めるはず」と分析。取材中、複数人が口にした「マイホームの買い時は買いたいと思った時」の言葉どおり、決断を促すのは意欲の強さにほかなりません。
ただ、強い理由がない緩めのマイホーム計画も心配は無用です。希望条件とその優先順位を整理しておけば、ふさわしい物件に出合えば自ずと迷いは消えるでしょう。1物件だけ見て決めたご夫妻も、立地、竣工時期、間取り、予算などの条件が希望を満たしていたからこそ購入。そして、20年以上経った今、そのマイホームに満足されていました。
まとめ
執筆者
近藤育子
新聞社、メーカー広報勤務を経てフリーライターに。情報誌、業界誌、PR誌、大学案内、社内報等の編集、取材、記事制作を担当。一時期はラジオ局のニュースデスクも務める。
現在は、主に企業関連の記事を執筆し、国家資格キャリアコンサルタントとしても活動。
- 関西みらい銀行が監修しています








