親子で想像力の翼を広げてみませんか
「こども本の森 中之島」で出会う一冊、一生ものの物語
2026.03.30最終更新

都会の真ん中にありながら、一歩足を踏み入れると別世界が広がる「こども本の森 中之島」。ここは、本を通じて子どもの感性や創造力を育み、親子の絆を深める特別な場所です。開館は2020年7月。コロナ禍の影響により外出を控える時期と重なったため、「気になっていたけれど、まだ行けていない」といったご家族も少なくありません。
そこで本記事では、同館を支える方々の思いとともに、人気の文化拠点の魅力を深掘り。忙しい日常を忘れて本に囲まれながら過ごす、かけがえのない親子のひとときをご案内します。
開館までのストーリー

水都・大阪を象徴する堂島川を背景にたたずむ「こども本の森 中之島」は、大阪出身の世界的建築家 安藤忠雄さんが「子どもたちに多様な本に触れてほしい」という願いを込め、自ら設計して大阪市に寄贈した文化施設です。
施設誕生の物語は、安藤さんが抱いた危機感から始まりました。「SNSの普及によって、じっくりと長い物語を読み、深く考える機会が子どもたちから失われているのではないか?」。デジタル時代の到来とともに活字離れが進む現代への強い憂いこそが、建設費を自ら負担し建物を寄附するという異例の事業につながりました。
「1冊の本との出会いが人生を豊かにする」という安藤さんの強い信念から動き出したプロジェクトは、2018年11月に施設建設工事がスタート。翌年12月には大阪市が安藤さんからの建物寄附を収受し、2020年7月、ついに開館の日を迎えます。
「本を読むことで想像力を養い、他人の痛みがわかる人間になってほしい」。安藤さんの熱い想いが込められた3階建ての吹き抜け空間は、言葉の木々が生い茂る「物語の聖地」です。知の探究へと誘うエントランス・ポーチに設置された、安藤さんがデザインした巨大な「青りんご」のオブジェは、詩人サミュエル・ウルマンの言葉に基づいた「若さ(熟さない青さ)を保ち続けよう」というメッセージ。訪れる全ての人に、その精神を問いかけています。
どんなところ?館内を探検!

その答えは、館内に入れば一目瞭然。寄贈本も含む約2万1000冊の蔵書が並ぶ夢のような空間は、まさに「本の森」です。安藤さんの願いが息づく世界が、そこに広がっていました。
壁一面が本棚となった光景は圧巻の一語に尽きます。階段やブリッジ通路が張り巡らされた、新しい問いが次々生まれるその場所は、大階段、階段裏の秘密基地のような奥まった一角、光が差し込む書棚と書棚の細い隙間さえも、思い思いに本と親しむ特等席です。
お天気が良ければ、中之島公園への本の持ち出し(ひとりにつき1冊/⼀部持ち出せない本もあります)が可能で、季節の⾵を感じながら本を楽しむこともできます。

つまり、館内プラス中之島公園までが閲覧室。どこで、どんなふうに本の世界に没入してもいい自由な空間を、こどもたちは自在に楽しみます。困った時はスタッフがお手伝い。人々の善意が実現した文化施設では、約40名のブックマーカー(ボランティア)が本の森の探検をサポートしてくれます。
幅広いジャンルの本は「自然とあそぼう」「体を動かす」「動物が好きな人へ」など、独自の12のテーマに沿って並べられています。上部の棚は本の表紙を見せてディスプレイ。心が動いた本があれば、低い棚に揃えられている閲覧用の同じ本を簡単に手に取ることができます。書棚には好奇心を刺激するメッセージ(言葉の彫刻)が掲げられるなど、子どもたちが直感的にお気に入りの一冊と出会える工夫が随所に施されています。

1階には、コンクリート打ち放しの円筒状の部屋。天井の丸い穴から光が差し込むほの暗い場所では、時々映像作品が流れます。壁面に映し出される物語の断片が、本への興味を誘います。
弓なりに伸びる館内には、至る所にアールが息づいています。1階の円形の部屋は、天井から降り注ぐ光もソファも丸く、3階の堂島川を望むカウンター、その背後にある背の低い書棚も優しい曲線を描きます。
たくさんの子どもたちと大きく育った6年目の森

来館者は開館以来、累計62万人に達しました(2025年12月末時点)。学校単位での来館、近所の保育園児たち、親子でのリピート、そして、本好きの大人たちも。多くの笑顔であふれる人気の文化施設は、幅広い層の来館者で賑わう日々が続いています。
「家ではゲームばかりの子が、ここに来ると本に夢中になっている」。そんな親御さんの声は、スタッフにとって何よりの喜びです。なぜなら、それはここが、わくわくしながら本を手に取って、触れたり、見たり、読んだりする発見の場である証だから。小さなお客さまの探究心こそが、この森を大きく育てているのです。
読書って素晴らしい!伝えたい思い

「こども本の森 中之島」を支える人々の共通の思い。それは、子どもたちの真っ直ぐな眼差しやみずみずしい感性を大切にすることです。
子どもたちと本の出会いを見守り続ける伊藤真由美館長は、「ここでは静かに本を読む必要はありません。本を手に取って驚いたり、親子や友だち同士で感想を言い合ったり、自由に本を楽しむ時間を過ごしてほしいと思います。乳幼児の皆さんであれば、絵を見るだけ、本を触るだけで十分です。ネット検索ですぐ回答が得られるのは便利ですが、紙の本を読むことで、じっくり自分で考え、想像力を育んでほしいと願っています」と、形式にとらわれない読書体験や、親子で過ごす時間そのものの大切さを語ってくださいました。
「こども本の森 中之島」のこれから

中之島公園の新たなランドマークとして定着した「こども本の森 中之島」。ここでは、「子どもたちが安心して自分自身で本の面白さを発見できる場」であり続けることを大切に、心のときめきを増やせるような多彩なイベントも実施されてきました。「えいご絵本のよみきかせ」や「出張!ほんのもりピクニック」、古典芸能や近隣施設とのコラボイベント、親子で参加できるワークショップなど、これからも笑顔に出会える催しがさまざま企画される予定です。
大阪で始まった「こども本の森」は、岩手県遠野市、兵庫県神戸市、熊本県熊本市、愛媛県松山市で開館。香川県には世界でも珍しい海を走る「こども図書館船 ほんのもり号」が寄贈されました。今後も北海道と京都での開館が予定され、プロジェクトは大きな広がりをみせています。
利用には事前予約がおすすめ

みんなが安心して利用できるよう、入館システムが整えられています。子どもの集中力を考慮して90分の完全入替制を採用。30分のインターバルに館内清掃や書架整理が行われます。1回の入館人数は150名まで。これは、本を読むのに心地良いスペースを確保できるよう算出された数字です。
現在、事前予約または予約なしでの当日先着入場枠の2通りの方法で入館できます。毎回、オンラインでの事前予約定員は100名、当日先着枠が50名。ただし、イベント開催時は予約なしの入館はできませんので注意が必要です。詳しい入館方法は公式ホームページをご覧ください。なお、スムーズな入館には事前予約がおすすめです。
利用対象者のメインターゲットは乳幼児から中学生ですが、大人のみでの予約や利用も認められています。あくまでも読書体験、文化体験を目的とした「子どものための文化施設」ですから、自習やパソコンの使用はできません。また、混雑時の閲覧席はお子様の利用が優先されます。
普段の賑やかな雰囲気とは異なり、たまには静かに読書を楽しみたい方向けに、不定期で、大人だけが入館できる夜間イベント「今日だけはおとな本の森」(入館料:寄付金として1人1,000円)が開催されています。
- 【こども本の森 中之島】
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- 所在地
大阪市北区中之島1丁目1―28(中之島公園内) - 開館時間
午前9時30分〜午後5時 - 休館日
毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は開館し、翌平日は休館)、蔵書整理期間・年末年始 - 入館料
無料 - アクセス
京阪中之島線「なにわ橋駅」3番出口すぐ、地下鉄御堂筋線・京阪本線「淀屋橋駅」1番出口と地下鉄堺筋線・京阪本線「北浜駅」26番出口から約400m - サイトURL
https://kodomohonnomori.osaka/(外部サイトへのリンク)
- 所在地
「こども本の森 中之島」で親子の特別な時間を!

本は、心に豊かな種をまいてくれます。親子でゆっくりとページをめくる。そんなぜいたくな時間を過ごしに、「こども本の森 中之島」へ足を運んでみませんか。そこには、一生忘れることのない物語との出会いが待っているはずです。
スマートフォンの電源をオフにして、親子で物語の住人になる。それは、情報が押し寄せてくる現代社会において、とても貴重で、かけがえのない特別なひととき。子どもにとってはもちろん、かつて子どもだった大人にとっても、ここは自分の「好き」を再発見する、「今心が動く何か」に気づける場所です。
お子さんが選んだ1冊、あなたが偶然手にした1冊、そこで交わした会話。それらはきっと親子の大切な「心の宝物」になり、夢を描く力になるでしょう。
新しい物語と出会う来館者を、多くの本が今日も迎えてくれます。
執筆者
近藤育子
新聞社、メーカー広報勤務を経てフリーライターに。情報誌、業界誌、PR誌、大学案内、社内報等の編集、取材、記事制作を担当。一時期はラジオ局のニュースデスクも務める。
現在は、主に企業関連の記事を執筆し、国家資格キャリアコンサルタントとしても活動。
- 関西みらい銀行が監修しています
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