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住宅ローンの頭金はいくら必要か?頭金なしのケースや平均額、控除制度までわかりやすく解説

2025.11.21最終更新

住宅ローンの頭金はいくら必要か?頭金なしのケースや平均額、控除制度までわかりやすく解説

住宅ローンを検討する際、「頭金はいくら必要か」「頭金なしでも借りられるのか」と悩む方は多いでしょう。頭金の有無は借入額や返済総額、金利条件に影響しますが、多ければ良いというわけではありません。この記事では、頭金の平均額や割合、頭金なしで借りる際の注意点、住宅ローン控除との関係、頭金と繰り上げ返済の判断ポイントまでをわかりやすく解説します。

住宅ローンの頭金とは?
頭金なしでも借りられるのか

住宅ローンを考えるうえで重要となるのが頭金です。ここでは、頭金の役割や頭金なしでも住宅ローンを利用できるのかについて解説します。

住宅ローンの頭金とは?どんな役割があるのか

頭金とは、住宅購入費のうち自己資金で支払う部分です。例えば3,500万円の物件に500万円の頭金を入れれば、借入額は3,000万円になります。頭金が多いほど借入額が減り、返済負担は軽減されます。

頭金なし(フルローン)でも住宅ローンは組める?

近年では、「頭金なしでの借り入れ」が可能な住宅ローンもあります。「フルローン」と呼ばれる、物件価格をすべてローンで賄う仕組みや、「諸費用まで含めて借りられる住宅ローン」を扱う金融機関もあります。
頭金なしで購入する最大のメリットは、まとまった資金を準備せずに早くマイホームを取得できる点や、手許資金を確保できる点です。一方、借入額が大きくなるため審査が厳しくなる可能性や、返済総額が増え家計への負担も大きくなるといったデメリットもあります。金融機関によっては金利優遇が受けにくい場合もあり、メリットとデメリットを比較したうえで慎重に検討することが求められます。

住宅ローンの頭金はいくら必要か?平均額や割合の目安を解説

住宅ローンを考える際の頭金の目安は、借入額や返済総額、金利条件によって異なりますが、一般的には「購入価格の20%程度」とされています。

実際に、国土交通省の調査でも、注文住宅の自己資金平均は1,354万円(購入価格の約23%)、分譲戸建ては948万円(約22%)となっています。

  • 平均購入価格と自己資金について(2024年度)

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区分 平均購入価格
(万円)
平均自己資金
(万円)
自己資金の割合
(%)
注文住宅(土地購入) 5,876 1,354 23.0
分譲戸建住宅 4,310 948 22.0
分譲マンション 4,366 1,427 32.7

出典:国土交通省の「2024年度住宅市場動向調査」―平年変化比較表(注文住宅)、経年変化比較表(分譲住宅)より数値を抽出

その一方で、頭金なしで購入する人も増えています。住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」(2025年4月)によると、頭金が10%以下の人が26.5%と最も多い結果となりました。さらに、住宅購入価格を超える住宅ローンの利用者の割合が2024年の11.4%から、2025年は13.5%に増加していることが明らかになっています。

頭金を多く入れるべきか?それとも繰り上げ返済に回すべきか

住宅ローンを利用する際、頭金を多く入れるべきか、それとも返済中の繰り上げ返済を優先すべきかは、多くの人が悩むポイントです。ここでは、それぞれのメリット・デメリットを挙げ、判断の目安について解説します。

頭金を多く入れるメリットとデメリット

頭金を多く入れる最大のメリットは、借入額を減らすことで総返済額を圧縮できる点です。特に金利が高い局面では、借入額を抑えることが利息軽減につながり、長期的な家計負担を和らげます。
一方で、デメリットは手許資金が大きく減ることです。住宅取得時は家具や家電の購入、引越費用など、まとまった出費が続くほか、教育費や医療費など将来の出費に備える必要もあります。お金の余裕がなくなるリスクを避けるためには、すべてを頭金に回さず、ある程度の生活防衛資金を残しておくことが重要です。

繰り上げ返済を優先するメリットとデメリット

頭金を少なめに抑え、その分を将来の繰り上げ返済に回す方法にも利点があります。繰り上げ返済を行うことで返済期間が短縮されると、それに伴って利息負担が軽減され、結果的に総返済額を減らす効果があります。しかし、手元の資金が減ってしまうためリスクにもなります。資金不足にならないためにはこれからのライフイベントを考慮し、無理のない範囲で行うことが大切です。

頭金か繰り上げ返済か迷ったときの判断ポイント

頭金を多くするか繰り上げ返済を重視するかは、一律の正解があるわけではありません。家計や金利環境によって変わります。まず注目すべきは金利水準です。低金利が続く局面では、手許資金を多く残しつつ繰り上げ返済や投資に回す選択肢も合理的です。一方、金利が上昇傾向にある場合は、早めに借入額を減らしておくことが安心につながります。
生活防衛資金を十分に確保しているかも重要な指標になります。教育費や緊急時の支出に対応できる資金を残しているかどうかで、リスク許容度は変わります。
また、後述する「住宅ローン控除」を受けている場合も要注意です。住宅ローン控除は年末の借入残高を基準に控除額が決まります。頭金を多くしたり、繰り上げ返済を行うタイミングによっては控除額が少なくなります。

住宅ローン控除と
頭金の関係

住宅ローン控除(住宅ローン減税)は、年末時の住宅ローン借入残高に応じて所得税が控除される制度で、家計への負担軽減に大きな効果があります。ここでは、2025年からの制度改正や、頭金と控除のバランスを考えるポイントを解説します。

2025年からの住宅ローン控除の変更点

住宅ローン控除については2024年に税制改正があり、新築住宅のうち省エネ基準を満たすもののみが控除の適用対象となりました。また、借入限度額も縮小されました。ただし、子育て世帯(19歳未満の扶養親族を有する)と若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが40歳未満)については、2022年・2023年の水準が維持されました。2025年度の改正でも同様の措置を引き続き実施するとしています。

具体的には、子育て世帯・若者夫婦世帯が2025年に新築住宅に入居する場合、借入限度額は「長期優良住宅・低炭素住宅」で5,000万円、「ZEH水準省エネ住宅」で4,500万円、「省エネ基準適合住宅」で4,000万円です。

また、新築住宅の床面積要件は40㎡以上に緩和され、合計所得1,000万円以下の年度分に限り建築確認の期限が2025年12月31日まで延長されました。制度改正を正しく理解し、自身の購入計画に合うかどうかを確認することが重要です。

頭金を多く入れると控除額は減る?

住宅ローン控除は年末の借入残高を基準に控除額が決まります。そのため、頭金を多く入れて借入額を抑えると、当然ながら控除対象となる残高が減り、結果として控除額も縮小します。例えば、3,000万円の物件を頭金なしで購入し、借入額が3,000万円の場合、控除額は大きくなります。しかし、頭金1,000万円を入れて借入額が2,000万円となれば、その分控除額は小さくなります。つまり、頭金を増やすことは返済負担の軽減につながる一方で、控除を最大限受けたい人にとっては不利に働く可能性があるのです。

住宅ローン控除を受けるときの注意点

住宅ローン控除を受けるには、初年度は確定申告が必要となりますが、給与所得者の場合、2年目以降は勤務先での年末調整の際に手続きできます。ただし、必ずしも控除限度額いっぱいが還付されるわけではなく、支払っている所得税や住民税額の範囲内での控除となる点に注意が必要です。また、将来的な制度改正にも留意しなければなりません。現行制度は2025年入居者までの特例措置が多く、2026年以降に入居する場合には控除が縮小、あるいは利用できなくなる可能性があります。住宅購入のタイミングや年収、課税状況によって控除効果は異なるため、税制の動向を確認しつつ資金計画を立てることが大切です。

無理のない
住宅ローン計画の立て方

ここからは、年収やライフプランを踏まえた現実的な頭金の決め方や、効率的に準備する方法を紹介します。

無理なく準備できる頭金の目安額を決める

頭金の目安は「年収」と「返済比率」を軸に考えると無理のない計画が立てやすくなります。各金融機関では、住宅ローンの適正な返済比率の目安を公表していませんが、一般的には30~35%といわれています。ただし、無理なく返せる理想的な目安は手取り収入の20~25%程度で、そこから逆算すると必要な借入額が見えてきます。例えば年収600万円なら、年間返済額の目安は120万~150万円程度となり、借入可能額もおのずと決まります。そのうえで自己資金をどの程度投入できるかを検討し、家計や将来のライフイベント(教育費・老後資金など)に支障が出ない範囲で頭金を設定することが重要です。

頭金だけでなく諸費用・引越し費用も含めて総額をシミュレーション

住宅購入にかかる資金は、頭金や物件価格だけではありません。契約書にかかる印紙税、登記費用、不動産取得税、仲介手数料などの諸費用が数百万円規模で必要になる場合があります。さらに、引越し費用や新居用の家具・家電購入費もまとまった支出となります。そのため、住宅購入資金は「物件価格+諸費用+生活立ち上げ費用」を総額でシミュレーションしておくことが欠かせません。頭金に資金を集中させすぎず、余裕を持った資金配分を行うことが、無理のない住宅ローン計画につながります。

まとめ

住宅ローンの頭金は、物件の種類や購入者の年齢、資金状況によって異なります。頭金なしでも借りられるローンはありますが、返済負担や控除額への影響も考慮が必要です。最も重要なのは、手元資金を残しつつ、無理のない返済計画を立てることです。

住宅ローンの頭金に関する重要ポイント

  • 頭金の一般的な平均は「購入価格の20%程度」
  • 頭金なしでも住宅ローンは可能
  • 頭金を多く入れると借入額が減り、返済負担が軽くなる。一方で手許資金が減るリスクも
  • 繰り上げ返済も有効な選択肢だが、ライフイベントとのバランスを考慮することが重要

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執筆者

五賀雅子

車業界、教育・医療関連の業界新聞記者を経て、出版社&編集プロダクションにて書籍の編集や子育て情報誌、雑誌等の編集・制作を担当。現在はライターとして、金融や介護、家事、育児、医療、レジャーなど幅広い分野の記事制作に携わっている。

  • 関西みらい銀行が監修しています